貧血は、年齢や性別に関係なく誰にでも起こり得るものです。
予期せず貧血が起きてしまった場合、どのような方法で治すことができるのでしょうか。
ここでは、貧血を改善するための治療や薬について紹介しています。
貧血の治療法はと聞かれたら、おそらく誰もが鉄分の補給と答えるでしょう。
しかし鉄分を補給しただけで貧血が治るとは限りません。
他にはどんな治療法や治療薬があり、貧血の改善に用いているのでしょうか。
数ある貧血のなかで、もっともよくみられるのが鉄欠乏性貧血です。鉄欠乏性貧血は、ヘモグロビンの材料である鉄分が体内で不足することで起きる貧血です。
鉄分不足に陥る原因はさまざまであり、治療は原因に応じて行わなければいけません。
なお、この貧血の症状そのものを改善するための方法には、鉄剤の服用があります。
病院で貧血と診断され、食事による補給だけでは間に合わないような状態であれば、医師より鉄剤を処方されることが多いです。
鉄剤には色々なものがありますが、一般的にはクエン酸第一鉄ナトリウムを成分としたフェロミア錠が広く用いられているようです。
服用回数は1日1〜2回・服用量は2〜4錠であり、大抵は1〜2ヶ月で改善されます。
しかし貧血症状がおさまっても、体に十分な量の鉄分をストックするために、2〜6ヶ月は飲み続けなければいけません。
なお服用するにあたっては、さまざまな注意事項を守る必要があります。
具体的には、吸収が悪くなるのでお茶やコーヒーと一緒に飲まない、胃潰瘍や大腸炎を患っている人は慎重に投与するなどが、例としてあげられます。
また、体を害するような重い副作用は出ないものの、吐き気や下痢・便秘などの胃腸症状が表われやすいので、あまりに気分が悪くなるようであれば医師に相談をしましょう。
服用が難しい場合は、静脈注射や点滴による鉄投与が行われます。
重症の心不全によって、鉄分の吸収がうまくいかなくなり貧血に陥ることがあります。
このような場合は、輸血によって赤血球を補わなければいけません。また白血病の場合も、抗がん剤の投与治療によって、貧血症状がひどくなるので輸血が必須になります。
ほかに輸血が必要な疾患に、再生不良性貧血があります。再生不良性貧血は、骨髄の異常により、赤血球などの血球の数が減少する貧血です。
輸血により症状の改善を図るほか、再生不良性貧血そのものを治療しなければいけません。
治療方法には、蛋白同化ホルモン療法、骨髄移植、免疫抑制療法(ATGやシクロスポリンの投与)などがあります。
こうしてみると、貧血の原因が重い病気のときに輸血することが多いようですが、栄養失調で重度の貧血が表われているときや、交通事故などによる急な出血の場合でも、輸血が行われます。
特定の栄養素の不足が貧血を起こしている場合は、その栄養素を補うことで改善されます。
たとえば巨赤芽球性貧血(悪性貧血)は、ビタミンB12や葉酸の欠乏が原因ですので、これらの栄養素を補給することがそのまま治療につながります。
一般的に、貧血は鉄分の投与や摂取で治すというイメージがありますが、治療方法はそれだけではありません。貧血にはさまざまな種類があり、それぞれに応じた処置が必要なため、貧血の数だけ治療法があると言えるのです。
治療方針を決めるには、詳しい検査による診断で、原因を明確にすることが先決です。